#9カウンセリング実践 自分勝手が人のためになる?
弊ブログに訪れてくださりありがとうございます。
面談記録をいたします。
#8 Sさん 40代 女性 主婦
中学2年生の娘さんについてのお話でした。日頃から、携帯電話の使い方について注意することが多いそうです。中高一貫校に通っており、中学の間は校則が厳しいが高校になると自由度が増し、今のように携帯の使い方を管理できないままでいいのだろうかとご心配されておりました。
最近携帯電話について注意した場面についてお尋ねし、その時の出来事をコラム法にしました。娘さんに家事をお願いして午後外出したが、帰ってきた時にやっておらず、朝と同じ体勢で同じ場所で携帯を使っていたということです。
もっともストレスを感じた瞬間を、出来事・感情・思考に分類します。
□やっていなかった家事に対して「やればいいんでしょ」という言葉に(出来事)
□怒りの感情になり(感情)
□期待を裏切られたと考えた(思考)
期待を裏切られたという思考に対して根拠(そう考えて当然と言える材料)と反証(考えを疑う材料)を探していきます。
<根拠>
□朝と同じ体勢で携帯を使っていた
□お風呂掃除が終わっていない
□頼んだことをやるのは5回に1回程度
<反証>
□頼んだことをやるのは5回に1回程度
□1日100円のルールを作ったら毎日お弁当箱を洗っている
□部活動を一生懸命やっている
お気付きのように、「頼んだことをやるのは5回に1回程度」は根拠にも反証にもなっています。つまりこの事実は裏切られたと考える根拠にもなり、反証にもなりうるということです。
*「5回も頼んで1回しかやらない。今日もまたやらなかった。」→根拠
*「4回やらなかったのだから、今日ぐらいはやっていると思っていた。」→根拠
*「5回に1回程度しかやらないので、きっとやっていないだろう。想定内なのでストレスに感じる必要ない。」→反証
*「5回に1回はやってくれる。自分のことに夢中な年頃なのでこんなものだ。」→反証
このように、事実に対して何を考えるかによって現実の見え方は変わってきます。事実は一つのように見えて、実は一つでないということがよくわかります。捉える人によって、その事実はいかようにもその表情を変えるということです。さらにいうと、同じ人であっても、その時の心の状態や気分、直前の出来事などによっても簡単に捉え方は変わります。
実際Sさんも、「娘さんは本当に期待を裏切っているのか?」という視点で娘さんの日常を見渡した時、お弁当箱洗いを継続していることや部活動の頑張りなどを拾うことができ、娘さんが期待を上回っている点に目を向けることができ、捉え方が変わっていきました。
「期待を裏切られた」という考えは、「必要な時になればできるようになるから、今はできなくても少しづつでいい」「自分で気がつくことが大切」というバランス思考へと変化しました。期待を裏切られたと考えれば当然ストレスは高まりますが、これから少しづつできるようになればいい、と現状を受け入れればストレスは格段に減ります。
ある事実をどう捉えても、それは人それぞれの自由です。そして、人の数だけ捉え方があります。それならば、出来るだけ自分にとって負担が少ない捉え方をする方が幸福度が高まると思います。自分にメリットになるのはどの考えだろう、自分を満足させてくれる考えはどれだろう、自分にとって気楽な考えはなんだろう、と自分の心を満たす「自分勝手な考え」を楽しんでみてください。あなたのストレスが下がれば周囲の方達に対しても受容的に関わることができ、お互いにとって良いバランスを保つことができると思います。
~本日の学び~
自分勝手な考えで幸福度を満たそう
最後までお読みくださりありがとうございました。
このご縁に感謝いたします。
認知行動療法メンタルトレーナー
いくえ