#6 カウンセリング実践 そこに意味を加える'スキーマ'というもの
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面談の記録をいたします。
#6 Mさん 40代女性 パート
ご主人についてのお悩みでした。
受験生のお子様がいらっしゃるご家庭です。リビングでお子さんが勉強するときにご主人がテレビを消さないことや、遅くまでお子さん達とテレビを見ていることなどについてお困りのようです。
これについて、出来事・感情・考えに分ける3つのコラムを実施しました。
□Mさんが消したテレビをつけたご主人に
□イライラの気持ちになり
□(子供に勉強して欲しいはずなのに)なぜ子供のためではない、反対のことをするのかと考えた
となりました。
そこからご主人への認知を掘り下げたところ、
・私のやりたいことの反対のことをする
・私の決めたことが気に入らない
・私に張り合っている
と感じていらっしゃることが分かってきました。
テレビをつけるというご主人の動作は一つの行動です。そこにMさんの捉え方が加わることによって、その動作に意味が生まれます。
Mさんはこれまでに『なんでいつもお前の言う通りにしなきゃいけないの?』というご主人の発言や『AとBどっちがいい?』というご主人からの質問にMさんがBと答えるとご主人がAを選択する(逆を選ぶ)などの経験がありました。このようなことからMさんにとってのご主人の捉え方が作られ、今回のご主人の動作が『私のやりたいことの反対のことをする』という意味を表すことになったと考えられます。
このように人は、ある事象に対し自分の経験や知識によって得た情報をもとに、意味をもたせて解釈します。過去の情報を統合して、思考のパターンが作られています。この思考パターンを、心理用語でスキーマと呼びます。心を作り出す枠組みという意味です。スキーマは無意識に働いており、思い込みや偏見など認知の偏りを生み出すこともあります。
例えば、金髪でミニスカートにヒールの高い靴、長い爪にふんだんなネールアートをしている女性がベビーカーを押して電車に乗ってきたとします。その女性にあなたはどんな印象を持つでしょうか。『ちゃんと子育てしているのかな』『しっかり家事していないのではないだろうか』『若くして子供を産んだのかな。大丈夫かな。』などと感じる方は多いかもしれません。しかし、その女性がどのような子育てをしているか、家事をしているかは何も情報がありません。もしかしたら、大金持ちでお手伝いさんが大勢いて家事をする必要が全くないのかもしれません。もっと言うと、その女性は赤ちゃんのお母さんですらないかもしれません。
しかし、私たちは無意識のうちに『派手な格好をしているお母さんは家事や育児をおろそかにしている』というスキーマ(心の枠組み)を持っており、派手な格好というの物理的な状況に、『家事や育児をおろそかにする』という意味を付け加えて判断しているのです。
ベビーカーを押していた女性に、大金持ち・母親ではないなどの事実があるかもしれないのと同じように、Mさんのご主人がテレビを消した行動に『私のやりたいことの反対のことをする』以外の事実や可能性があるか、今後Mさんと一緒に検証していきたいと思います。
~本日の学び~
私たちは、無意識に働くスキーマによって事象に意味をもたせている。
@restaurant CELLY with SKY BAR
最後までお読みいただきありがとうございました。
このご縁に感謝いたします。
認知行動療法メンタルトレーナー
いくえ