不安を取り去るなんちゃってヒプノセラピー
弊ブログに訪れてくださりありがとうございます。
息子と次女で2泊3日のサマーキャンプに参加することになりました。
PTSDをもつ息子にとって、想像できないことを行うこと、初めての場に行くこと、知らない人と関わるのは大きなストレスです。だからこそ、「初めての場も安全だ」、「一人でも大丈夫」、「僕はできるんだ」と、自信をつけてもらいたく、敢えてそれを経験させる場をたくさん与えたいと考えています。
キャンプに出かける前日、全ての荷物を揃えてリュックに詰め、明日の朝着る服も用意して、準備万端整った時。
「明日、行かなきゃいけないの?行きたくない・・・。」
と涙目でクッションにうづくまる息子。息子の不安は当然です。初めての場所へ、初めて顔をあわせる仲間と、何が起きるかも分からない。突然の大事故を経験してしまった息子にとっては、「よくない何か」がとてもリアルな体感として蘇るのです。なのでこの反応は想定内。
「じゃあ、明日からどんなキャンプになるか一緒に見てみよう!」と、なんちゃってヒプノセラピーでイメージトレーニングを行いました。
息子は横になって目を瞑ります。
私「明日の朝だよ。起きたね。まず何をしよう。」
子「着替える。」
私「それから?」
子「コーンフレーク食べる。」
私「うん。ママはお弁当を準備するよ。それから?」
という具合に、リュックを背負って駅まで歩き、電車に乗って集合場所へ。
バスに乗って、ママに手を振って出発!
私は、キャンプの予定表を見ながら
「キャンプ場に着いたよ。お昼ご飯をみんなで作ろう。カレーかな?Hは何を準備する?」
と話しかけます。
「にんじん切るよ」
と、息子も上手にイメージしていました。
そうやって、3日間のキャンプ全行程をシュミレーション。
最後は、帰りの車の中の場面。
「帰りは疲れてるだろうから、車で迎えに行くね。キャンプの話聞かせてね。今、どんな気分?」
と私が聞くと、
「疲れたけど、楽しかった。」
と答える息子。
私「おっけー!Hは3日間たくさん遊んで疲れて、とても楽しい気分で帰って来られるよ。大丈夫!」
翌朝は少し不安そうに出かけて行きましたが、3日間のキャンプを終えた息子。次女も無事元気に帰ってきました。
帰りの車の中では、キャンプでの出来事を我先にと興奮気味に話すふたり。日常では味わえない経験をしたこと、お友達がたくさんできたこと、積極的にプログラムに参加したことが伝わってきて、とてもうれしく聞いていました。
帰宅して一息ついた時、
「キャンプ、頑張ったんだね。キャンプに行く前に想像していた帰ってきた時の気分は’疲れたけど楽しかった’だったよね。今はどんな気分?」
と息子に尋ねてみました。
「キャンプの間の出来事は全然違ったけど、今の気持ちはその通りだよ。疲れたけど、楽しかった!」
と息子。
なんちゃってヒプノのイメトレは効果あったようです。
潜在意識にまでは働きかけていないですが、「こうなる」とイメージした状態に人は近づいていくのだと思います。当然、いい状態をイメージすればよくなっていくのです。
よりリアルにイメージすることも大切です。「何もかも楽しくて、夢のような3日間だった!」とイメージするのはちょっと無理がありますし、そうイメージしていたとしたらその状態にはなりにくかったかもしれません。息子にとって「疲れたけど楽しかった。」が一番実感を持ってイメージできる状態で、だからこそそこに行き着くことができたのでしょう。
解決志向型ブリーフセラピーにおいても、同様のアプローチがあります。「Timemachine Question」と呼ばれるもので、「全てうまくいったとしたらどうなっていると思う?タイムマシンに乗ってみにいってみよう!」とクライアントに投げかけるのです。その上で、その解決像に向かうために今到達可能なゴールを設定し、成功体験を積み上げていく、というものです。セラピーにおいても、映像を見ているようにありありと、五感を使って表現してもらうことが大切と言われています。
日常のちょっとしたチャレンジや上手に乗り越えたいことがあるときには、こんな風にうまくいった自分をイメージする時間を作るだけで、落ち着いて取り組むことができるようになると思います。その心のゆとりがあることで、成功はグッと近づくのではないでしょうか。
最後までお読みくださりありがとうございました。
このご縁に感謝いたします。
認知行動療法メンタルトレーナー
いくえ